あったかスイーツ―とっておきの60レシピ

2017年11月1日 Category : , 0

あたたかいスイーツのレシピをまとめた一冊。

あったかスイーツ、ホットスイーツと聞くと、なんとなく珍しい気もするのだが、よくよく考えると、ホットケーキであったり、クレープであったり、ちょっとまえに流行ったフォンダンショコラであったり、プリミティブには焼き芋、和風であればお汁粉/ぜんざいであったり、いろいろとあるのだ。ということに、本書をめくりながら気づいてしまう。

とはいえ、ココットでつくるフルーツグラタンやクランブル、スフレやオムレツケーキなどは、簡単で試してみたいと思うレシピばかり。秋冬に読みたくなる、そんな甘いレシピ集。

あったかスイーツ―とっておきの60レシピ




なぜか心ひかれる日本の奇妙な絶景50

2017年10月12日 Category : , 0

次の旅行のガイドとして、手にとった一冊。

日本各地の絶景が、見開き2ページ、もしくは1ページに大きく紹介されており、大きな写真の下にはちょっとした説明、キャプションがついている。写真がどれも素晴らしい。ここが日本か!?と驚くよりも、ここはどこだ!?と、その美しくも奇妙な景色に驚愕する。大自然の素晴らしい景観から、雪よけ庇などの人工的人為的な風景、飛騨古川の祭りなど、全国のあれこれがまとめられている。

こんな世界が日本にあるのか、ぜひ死ぬまでに一度は見ておきたい、と足を延ばしてみたくなること必至。写真はどれも素晴らしいのだが、キャプションがやや蛇足気味。北から南、日本列島を縦断しながら、50もの奇妙な絶景に、誰もが心奪われる。

なぜか心ひかれる日本の奇妙な絶景50




コララインとボタンの魔女

2017年9月7日 Category : , 0

ニール・ゲイマンによる不思議の国のアリス的、ちょっとダークな雰囲気を持つ児童文学作品。例によってヒューゴー賞、ローカス賞、イギリスSF協会賞などの名だたる賞を受賞しており、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のヘンリー・セリック監督によりアニメ映像化され、その映画は、ゴールデングローブ賞アニメ映画賞にノミネートされた。キモカワで、コワカワな、不思議でかわいいファンタジーな一冊。

主人公の少女コララインが、両親と一緒に大きなお屋敷に引っ越してきたところから、物語ははじまる。お屋敷はいくつかに区切られており、屋根裏や半地下には、元女優やネズミに芸を仕込んでいる男など、ちょっと変わった同居人が住んでいる。ある日、お屋敷を探検していたコララインは、封印された小さなドアを見つけるのだが……というわけで、そのドアはまぎれもない異界への入口なのだ。ドアの向こうには鏡の国的な、現実そっくりだがちょっと奇妙な世界が待っている。そこは、心躍るサーカスや、終わることのないミュージカル、花が咲き誇る美しい庭、コララインの願いをなんでも叶えてくれる優しい両親がいた。ただ一つ決定的に妙なのは、ママもパパも皆、目がボタンだということ。それでも楽しいばかりの不思議の国だったが、ある日、本物の両親が消えてしまう。この素敵な世界は、すべて自分を誘い出すための、ワナだと気づいたコララインは……

少女による典型的な異界冒険譚は、同じニール・ゲイマンによる『墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活』と比べると、物語が寄り道することなく、余分なエピソードもなく、コンパクトにまとめられている。こちらのほうが児童書らしく、よりシンプルで、わかりやすく読みやすいが、やはり映像的に想起されるのは、どちらもティム・バートンの映像作品が持つビジュアルイメージである。

コララインにせよ、黒猫にせよ、どの登場人物にしても、そのセリフ、言葉ひとつひとつが、じっくりと味わい深く、腑に落ちるというか、腹に落ちるというか、ほほほぅと唸るというか、いずれにせよ、子供だけに楽しませるのはもったいない。ニール・ゲイマンらしさ満載の一冊となっている。ぜひぜひ、映画を見てイメージを固めてしまう前に……

コララインはため息をついた。「わかってないのね。ほしいものをなんでも手に入れたいなんて思ってないわ。そんなことを本気で願う人なんでいやしない。だって、ちょっとほしいなと思ったものがなんでも手に入るからって、なにが楽しいの?手に入れてみて、どうでもいいものだとわかったら、どうするのよ」

コララインとボタンの魔女


壊れやすいもの

2017年8月14日 Category : , 0

アメリカンコミック『サンドマン』の原作者にして、世界幻想文学大賞、ヒューゴー賞、ブラム・ストーカー賞、ニューベリー賞など、SFやファンタジーなどを題材とした作品に贈られる文学賞を総なめにしてきた、そんな多彩で多才な天才的な著者 二ール・ゲイマンによる中短編集。

31の作品が収められており、小説や詩、自作の後日譚や有名作品のパロディなど、その作品の幅は、怪奇、奇想天外、コミカル、ブラック、スリラー、ミステリー、スプラッターなどなど、かなり幅広い。

収められた作品のごく一部、気にいった作品の雑感。『翠色の習作』は、ホームズ・ミーツ・クトゥルフというキワモノにして、ホームズパロディとしても傑作。『十月の集まり』は、擬人化された十二の月が物語を語り合う会をひらいており、それぞれの物語断片と雰囲気が魅力的。『メモリー・レーンの燧石』は、著者が体験した本当にあったお話ということで、あっさりしているのがこの一連の作品集のなかで味わい深い。『苦いコーヒー』は、ロードムービー的ゾンビもので、ニューオリンズの街が白昼夢的世界に落ちていく。『他人』は、オチが予想できるというところで、よくできたショートショート。『ミス・フィンチ失踪事件の真相』は、悪夢的なサーカスもので、どこかコミカル。『指示』は、ファンタジーというか、おとぎ話的なお約束をまとめた詩だが、読んでいてなんとも面白い。『食う者、食わせる者』は、猫グロテスクな作品。『ゴリアテ』は、マトリックス世界を描いたもので、リロードされ繰り返される世界の描写が面白い。『パーティで女の子に話しかけるには』は、トワイライトゾーンか、軽い感じのキングの短編かといった雰囲気。『アラディン創造』は、シェヘラザードによる千夜一夜物語創造の舞台裏を描く。『サンバード』は、美食倶楽部の面々が幻の食材サンバードを求めて……繰り返される歴史的なラストも見事。

どれもこれも味わい深く、エログロからファンタジック、乙女チックで男らしい、形容しがたい作品集。二ール・ゲイマンの作品を一度でも読んだことのある人なら、間違いなく楽しむことができるだろうし、はじめての二ール・ゲイマンをここから始めるのも、ある意味でうらやましい。雑多でバラエティに富んだ作品集ながらも、どうまとめても、二ール・ゲイマンらしくなるのが、本作の凄いところだろう。

壊れやすいもの




老人喰い:高齢者を狙う詐欺の正体

2017年7月8日 Category : , 0

活字で読む、ウシジマくん的な一冊。

取材で得たネタを繋いでいたら、小説みたいになっちゃいました、という感じで読みやすいのだが、しっかりした分析やデータなどを期待すると、少々肩透かしなところもある。水は高きところから低きへ流れるのだが、階級社会においては、金は高いところに留まるばかり。その留まる金を狙うハンターのように描かれる詐欺グループの若者たち。ダークサイドのよくあるビルドゥングスロマンとも読める。

世代間に横たわるルサンチマンを明確にしたうえで、老人喰いの正体に迫るのは、わかりやすぎるきらいもあるが、薄らぼんやりこの詐欺をみてきた人に、指針を与えたことは評価できる。ある意味で、読者に対して、ルサンチマンを共有する作業、共感させているようにも感じる。悪はどう描いても、魅力的にならざるを得ないのだ。

いわゆるオレオレ詐欺の歴史、現在進行形の動きなどについても、わかるところが面白い。特にヤクザが介入するようになって、どう詐欺の形態が変化したのかというところは、とても興味深い。

肯定されることはけっして無いだろうが、共感されるおそれはたぶんにあるだろう、そんな一冊。

高齢者を狙う犯罪とは、圧倒的経済弱者である若者たちが、圧倒的経済強者である高齢者に向ける反逆の刃なのだ。


老人喰い:高齢者を狙う詐欺の正体



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